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年次大会
:第64回大会 (報告要旨・報告概要:テーマ部会B)


テーマ部会B 「性的身体の現代的諸相−セクシュアル・マイノリティと生殖」

討論者:森岡 正博(早稲田大学)、遠矢 和希(国立循環器病研究センター)
司会者:杉浦 郁子(和光大学)、苫米地 伸(東京学芸大学))
部会要旨 苫米地 伸
部会要旨

 本テーマ部会のねらいは、「性的身体」に対する規範的なまなざしや介入を問うことで、排除や暴力をめぐる現代的な課題を考察することです。
 関東社会学会大会でのテーマ部会で取り上げられたテーマを過去にさかのぼって見てみると、ジェンダーがテーマとなった直近の大会は、専修大学で開催された2004年度の第52回大会「ジェンダー不平等の多面性」でした。それ以来、実に10年以上の間、関東社会学会大会テーマ部会では、ジェンダーあるいはセクシュアリティの問題はテーマとして取り上げられてこなかったことになります。
 その一方でジェンダーあるいはセクシュアリティをめぐる社会の状況が、大きく変化してきたのは周知のことでしょう。「LGBT」あるいは「LGBTQ」という言葉も社会的に認知されるようになり、先年には渋谷区議会で「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が可決・成立したことは、記憶に新しいものであると思います。
 つまり、日本社会は、多様な「性的身体(身体は性的である)」への寛容さを増しつつあるよう思われます。それに応じて、以前には可視化されなかった(語られることのなかった)問題も、少しずつ見える(聞きとれる)ようになりました。このテーマ部会では、新たに見えるようになったこの「性的身体」をめぐる問題について考えていきたいと思います。
 上記のような問題設定にもとづき、第64回大会2日目午後(6月5日)に開催されるテーマ部会では、三部倫子さん(日本学術振興会特別研究員PD)、加藤秀一さん(明治学院大学)に「生殖」という領域に焦点を当てたご報告をお願いしました。三部さんには『「できたから産む」のか「欲しくて産む」のか―子どもを産んだセクシュアル・マイノリティの語りからみる選別・結婚・子ども』と題して、豊富なフィールドワークの成果から、セクシュアル・マイノリティの人々の結婚や出産に関する語りの分析を通じて、日本社会における性や家族をめぐる規範の変化と生じつつある新たな可能性についてご報告をしていただきます。「〈誤った生命〉とは誰の生命か―ロングフル・ライフ訴訟の定義から見えるもの」(『概念分析の社会学2』勁草書房)を執筆された加藤さんには『生殖テクノロジーが問いかけるもの―生む/生まれる〈権利〉をめぐって』と題して、ARTに関する問題群とその論じ方を整理した上で、「第三者配偶子を用いる生殖医療」とりわけ提供精子を用いた人工授精の現状とそれをめぐる社会学・法学・倫理学の議論の紹介・検討をご報告していただきます。討論者として、森岡正博さん(早稲田大学)と遠矢和希さん(国立循環器病研究センター研究員)をお迎えしております。
 当日は活発な議論が期待されます。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

(文責:苫米地伸)

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