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年次大会
:第63回大会 (報告要旨・報告概要:テーマ部会A)


テーマ部会B 「自己/語り/物語の社会学・再考」

担当理事:小林 多寿子(一橋大学)・浅野 智彦(東京学芸大学)
司会者:浅野 智彦(東京学芸大学)
小林 多寿子(一橋大学)
部会要旨  
経験社会学はなぜライフストーリーを必要とするのか
―ダニエル・ベルトーと桜井厚の対話―
話者:Daniel Bertaux(Université de Strasbourg)
桜井 厚(立教大学)
通訳:サイマル・インターナショナル
部会要旨

 本テーマ部会の目的は、「自己について語る」という営みについての理論を再検討することです。 自分自身について物語るという営みについて1990年代から2000年代初頭にかけて様々な理論的検討がなされてきました(ライフ・ヒストリー/ライフ・ストーリー論、自己物語論)。それらの検討を通して、自分自身についての語りが、語りがなされる時点からの遡及的な再構成であること、語り手と聞き手との相互行為に依存して構成されること(「ヴァージョンの展開」)、語りがつねに現時点での自己再帰性(「再帰的プロジェクトとしての自己」)の一環としてなされることなどが明らかにされました。
 続く2000年代は、経験的な研究を蓄積する時期であったといえるでしょう。様々な領域で、様々な人々の自己語りが聞き取られ、検討され、分析されてきました。そのような研究の中で注目を集めてきたのが対話的構築主義という立場です。多くの調査研究がこの立場を参照しながら進められてきましたが、同時に、いくつかの重要な疑問や批判が提起されてもきました。代表的なものとして、エスノメソドロジーと歴史実証主義からの問題提起があります。これらの批判との対話を通して、現在も旺盛に進められている自己語りの研究の理論的な含意について振り返る機会を持ちたいと思います。
 今年3月の研究例会では、エスノメソドロジーの立場からの問題提起を主たる検討課題としました。6月の学会大会においては、ダニエル・ベルトーさん(ストラスブール大学)と桜井厚さん(立教大学)とをお招きし、社会学におけるライフ・ストーリー研究の意義とその方法論的な固有性についてご報告と討論をお願いしています。また登壇者と会場との距離をより近いものにし、議論を活性化するために昨年に引き続きラウンドテーブル形式をとる予定です。

(文責:浅野 智彦)

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