2000年度 第2回
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開催日程
研究例会報告担当:梶田 孝道(一橋大学) 本年度第2回の研究例会が,2001年2月3日,立教大学で開催された。エスニシティ部会では,年間テーマとして「社会構造の変容とエスニシティ」を掲げ,社会構造や社会運動の変化と関係させてエスニシティや外国人の問題を実証的・理論的に考えることにしている。本例会では,山脇啓造氏(明治大学)「戦後日本の外国人政策と在日コリアンの社会運動−アイデンティティをめぐって」,南川文里氏(一橋大学大学院)「エスニック・ビジネスの問題圏−アジア系移民企業家と人種エスニック編成」という二報告をお願いした。第1報告では,朝鮮民族への帰属意識,国家(韓国・北朝鮮)への帰属意識,日本(地域)社会への帰属意識の3点の有無に着目して6つのアイデンティティ類型がつくられた。第1類型(+++,多国籍社会としての日本社会志向),第2類型(++−,一時的滞在者としての外国人),第3類型(+−+,多民族社会としての日本社会志向),第4類型(+−−,日本社会にも同胞社会にも帰属意識なし),第5類型(−−+,単一民族社会としての日本社会志向),第6類型(−−−,日本社会にも同胞社会にも帰属意識なし)がそれである。この類型に基づいて日本政府の在日コリアン政策と在日コリアンの社会運動が分析された。日本政府の政策という点では,1970年代までは第2類型と第5類型が主であったが,80年代以降は第1類型と第2類型の中間への移行も認められるという。在日コリアンの社会運動という点では,定住化を反映して第2類型から第1類型への移行が見られ,近年では新たな主体が登場し,第3類型への傾斜も認められるという。討論者からは,日本政府の在日コリアン政策とアイデンティティ類型とは区別すべきである,日本政府の在日コリアン政策は社会運動以外の要因(外圧等)によっても規定される,第4類型と第6類型が曖昧である,といった意見が出された。第2の南川報告では,アメリカ・エスニシティ研究におけるエスニック・ビジネスとアメリカ社会の「人種エスニック編成」についての説明がなされ,これらの理論的レビューを前提として1965年以降のアジア系移民の事例から,(1)ダウンタウンに集中する衣服産業や小売業に見られるエスニックな編成,(2)比較的豊かな「郊外」に登場した郊外型の企業家移民が紹介され,最後にエスニック企業家の活動がカテゴリー化を通してエスニック対立を一面では促進している点が指摘された。討論者からは,エスニック・コミュニティが可視化する場合としない場合との区別が必要である,ロスアンゼルス等の「郊外」の産業とコミュニティの展開についてより深い調査と分析が求められるといった意見が出された。いずれの報告も内容豊かなものであり,若手研究者を中心に40名弱の参加者があり活発に議論がなされた。 |
2000年度 第3回
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開催日程
研究例会報告担当:山田 真茂留(立教大学) 昨年度大会のプリナリーセッションの流れを汲む第3回研究例会「社会学の方法と対象――新しい方法の可能性」が,3月3日に立教大学で開催された。本年度は例会・大会双方を通じて,新しい諸々の方法が経験的研究としていかなる成果を生み出しているか具体的に検討することを主眼とし,本例会では伊藤智樹氏(当時千葉大学・現在富山大学)ならびに菊池裕生氏(上智大学)に報告をお願いした。 |
2000年度 第4回
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開催日程
研究例会報告担当:長田 攻一(早稲田大学) 当部会における昨年の議論の中心は,グローバリゼーションと国民国家との関係であった。これを踏まえて今年は,グローバリゼーションの担い手として国家,企業,消費者と並んで重要な位置を占める「市民」に注目し,国民国家の枠組みを超えて展開するNGO,NPOなどの活動はどのような問題を提起し,社会学はこれをどのように受け止めたらよいのか,究極的にはグローバリゼーションとは何かをこの観点から考えることとした。 |