「修論フォーラム」の報告と次年度大会での開催のお知らせ
担当:奥村 隆 (立教大学)
すでにニュースでお伝えしましたように、昨年からの試みである「修論フォーラム」を、2年目の今年は筑波大学での学会大会第1日目午前(6月16日(土)10:00〜12:30)に開催します。これは、2006年度に修士論文を提出した大学院生がその内容を報告し、他大学に所属する会員が論文を事前に読んだうえでコメントして、フロアの参加者とともに討論するものです。
前号ニュースでの募集に対して6名の応募があり、その希望に沿って会員にコメンテーターを依頼したところ、次ページのプログラムのようにご担当をお引き受けいただきました。お忙しいなかご協力下さるコメンテーターのみなさまには、厚くお礼を申し上げます。
各報告につき、質疑をあわせ50分を予定しています。各大学の大学院生をはじめ、会員・非会員を問わず、多数のみなさまのご参加と活発な議論を期待しております。
なお、16日の大会受付開始時間は13:30ですので、修論フォーラムに参加される方は受付をフォーラム終了後におすませ下さいますよう、お願い申し上げます。
「修論フォーラム」開催報告
奥村 隆(前担当理事・立教大学)
昨年度、第3回研究例会として開催された「修論フォーラム」が、2年目の今年は筑波大学での学会大会第1日目午前(6月16日(土)10:00〜12:30)に開催されました。今回は、2006年度に修士論文を提出した5大学・6名の報告者を2つのセッションに分け、修士論文の概要の報告と、報告者が希望したコメンテーターからのコメントと応答、参加者をまじえた討論が行われました。
このうち、セッション1(司会・奥村隆)では、後藤美緒氏(筑波大学)「東京帝大新人会の歴史社会学――政治的主体としての『青年』の成立と帰結」(コメンテーター・井腰圭介氏)、福岡愛子氏(東京大学)「文化大革命の記憶と忘却――回想録の出版にみる記憶の個人化と共同化」(コメンテーター・片桐雅隆氏)、熱田敬子「中絶はなぜ『悲しいこと』か――『身体的』経験がつくる齟齬と孤立の形」(コメンテーター・柘植あづみ氏)の3報告がなされました。また、セッション2(司会・玉野和志氏)では、小山田基香氏(立教大学)「東京の在日インド人コミュニティ――IT技術者から見る日本の外国人政策の現状」(コメンテーター・田嶋淳子氏)、松下奈美子氏(一橋大学)「我が国におけるフィリピン人女性労働者の就業実態と政策――『エンターテイナー』の労働者性を中心に」(コメンテーター・小ヶ谷千穂氏)、鄭佳月氏(東京大学)「世論と表象のポリティックス――戦後デモクラシーにおける世論の制度史」(コメンテーター・宮島喬氏)の3報告がなされました。
同時に開催されたこの2セッションにはあわせて40名ほどの参加者があり、コメンテーターからは修士論文を事前に深く読み込んだ評価のコメントや厳しい質問がなされ、大学院生を中心にした参加者からも多くの質問・発言がありました。その後、報告者・コメンテーターからは、他大学の先生からのコメントはたいへん貴重だった、大学間でこうした機会を持つことに意義を感じたといったご意見と同時に、セッションの後に自由に意見交換できる懇親会のような機会があればよかった、大会報告に対するこのフォーラムの位置づけをより明確にする必要がある、など運営上の問題に対するご意見もいただきました。
旧理事会ではこの新しい企画が一定の成果を挙げたと判断し、上記のご意見にあるような運営にあたって多くの課題があることを含めて、新理事会に、継続して開催の方向での検討をお願いしたい、との引き継ぎを行いました。この2年間の企画を支えて下さった会員のみなさまに深く感謝するとともに、この試みが多くの参加者を得てさらに発展していくよう、今後ともみなさまのご協力をお願いいたします。
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