HOME > 研究例会 > 研究例会報告(2010年度)
研究例会
研究例会報告: 2010年度

3月12日開催を予定してした研究例会は、地震の影響で司会者・報告者の移動が困難であったこと、交通事情、安全性を鑑み、急遽中止(延期)いたしました。当日は、例会担当理事・委員が会場にて対応いたしましたが、ホームページ等における事前の告知ができなかったことをお詫びいたします。 代替開催を行い無事終了いたしました。


2010年度 第1回

山田信行

テーマ部会Aは、昨年度と同様に、リスクと社会的排除の問題を継続してとりあげます。近年では、グローバル化と新自由主義のもとで排除型の社会が形成されてきているといわれております。そのもとで、新たな貧困や「個人化」の進展など、様々なリスクに直面する機会も増えています。こうした状況をふまえて、今年度は、「反リスク・反排除の社会運動」というテーマのもとに、昨年度も議論になったリスクと社会的排除を回避する可能性について、より突っ込んだ議論を行っていきます。6月の大会に先立って、このテーマに関連した研究例会を開催します。若手の研究者2名に報告していただき、大会に向けて議論を深めていきたいと思います。

1人目の報告者は、細木一十稔ラルフさん(カリフォルニア大学アーバイン校博士課程)です。細木さんには、移住労働者や外国籍住民の権利の確保と社会・経済・政治的排除からの救済を求める擁護活動に照準して、そのプロセスのあり方、有効性、可能性、そして限界を左右する要因を社会運動論のレンズを通して分析する報告を行っていただきます。具体的には、比較的研究が少ない移住労働者・外国籍住民の権利に関わる国際規範の国内外動員プロセスに着目して、これらのプロセスに関与している団体が1)ネオリベラル・グローバリゼーションに反対し、移住者の権利を訴えている国際NGOネットワークにどのような形でかかわり、活動を進めてきたかに触れ、2)国際連合の条約委員会に対するロビイング活動と国内における国際条約と公式国連文章の活用をどのように試みているかを考察し、3)このような運動プロセスの「成果」と可能性をどう捉えるべきであるかを模索することで、社会運動研究で用いられる「運動の成果」の概念と定義の境界線を再考していただくことになります。

2人目の報告者は、仲田教人さん(早稲田大学大学院博士課程)です。仲田さんの報告では、政治学の観点からグローバル化に対抗する社会運動を「コモンズ」をめぐる運動と位置づける観点から考察していただきます。この報告では、「反グローバリゼーション運動」を、グローバルな社会統合そのものに反対する運動ではなく、新自由主義的な社会統合に反対する多様な運動の総称であると位置づけ、とくに「反グローバリゼーション運動」における反資本主義の実践に着目し、それらがコモンズを通した運動であり、コモンズをつくりだす運動であることについて考察していただきます。ひとまずこの報告はコモンズを、商品化されていない共有の空間、資源、協働、生産と広く定義したうえで、前半では、御自身が参加されたG8サミットや国連気候変動会議への対抗行動などについて紹介し、現地におけるデモやキャンプなどの組織化の実践について検討されます。後半では、デヴィッド・グレーバーやマッシモ・デ・アンジェリス、ジョン・ホロウェイといった論者たちの理論化を手がかりとしながら、そうした実践の意義について考察が行われます。

多数の方の参加をお待ちしております。

開催日程

テーマ: 反リスク・反排除の社会運動
担当理事: 伊藤美登里(大妻女子大学)、山田信行(駒澤大学)
研究委員: 仁平典宏(法政大学)、田中研之輔(法政大学)
日 程: 2011年2月26日(土) 14時〜18時
場 所: 駒澤大学 大学会館246 7階7−1会議室
報 告: (1)細木一十稔ラルフ(カリフォルニア大学アーバイン校博士課程)
「日本における権利擁護運動の実態と『成果』の考察
―移住労働者・外国籍住民の排除に抗する支援団体の国内外活動を事例に」
(2)仲田教人(早稲田大学大学院博士課程)
「『反グローバリゼーション運動』とコモンズ」
司 会: 仁平典宏(法政大学)ほか1名

第1回研究例会会場案内
駒澤大学 大学会館246 7階7−1会議室
東急田園都市線「駒沢大学」駅下車
「公園口」を出て、国道246号線に沿って徒歩5分

研究例会報告

伊藤美登里(大妻女子大学)

 今年度のテーマ部会Aでは、昨年度に引き続きリスクと社会的排除の問題を扱います。昨年度の議論では現代社会がかかえるリスクや排除について明らかにすることに主眼が置かれておりました。今年度は、その議論を踏まえ、「反リスク・反排除の社会運動」というテーマのもとリスクと社会的排除を回避する可能性を探る試みを行っております。

 6月の学会大会に先立つ第1回研究例会は、2月26日(土)の14時から18時まで、駒澤大学、大学会館246、7階7-1会議室にて開催され、社会運動の研究に取り組んでおられる若手研究者2名にご報告いただきました。

 まず、細木一十稔ラルフさん(カリフォルニア大学アーバイン校博士課程)が「日本における権利擁護運動の実態と『成果』の考察――移住労働者・外国籍住民の排除に抗する支援団体の国内外活動を事例に――」と題する報告をされました。この報告では、移住者支援団体を対象としたフィールドワークをもとに、社会運動研究や(新)制度論研究の理論枠組みを用いて、日本における移住者の権利擁護運動の実態とプロセスが解明されました。具体的には、まず、運動の「成果」と可能性をどう捉えるかについて次のような視点が示されました。すなわち、運動の「成果」を「結果」に置き換え、「結果」を「運動主体の活動に起因する、政治・社会・文化的変化と、活動そのものもしくは当事者自身にとって価値ある資源の確保」と広く定義づけられました。これにより、運動によって得られたとされる結果の範囲が拡大され、移住者の社会的排除に抗するための活動の結果が可視化されます。このような「結果」概念を用いて、移住者支援団体が国際NGOネットワークにどのように関わり、国際連合の条約委員会に対するロビイング活動にどのような結果をもたらしているかが明らかにされました。

 おふたり目の仲田教人さん(早稲田大学大学院政治学研究科博士課程)は、「『反グローバリゼーション運動』とコモンズ」というタイトルのもと、自身も参加されたG8サミットなどへの対抗運動における組織化の実践を紹介され、その実践の意義をデヴィット・グレーバー、ジョン・ホロウェイ、マッシモ・デ・アンジェリスの理論を手掛かりとして考察されました。この報告では、「反グローバリゼーション運動」が、新自由主義的グローバリゼーションに対する異議申し立ての総称であり、また、「コモンズ」をめぐる運動でもあると位置づけられ、論じられました。ここでいうコモンズは、商品化されていない共有の空間、資源、協働、生産と広く定義されます。そして、資本主義市場の重大な問題は、社会の全領域に、つねに「勝者」と「敗者」を生むような結節点が作られつづける点にあること、このような資本の外部にあって、こうした資本の実践を拒否する運動がコモンズであること、コモンズをとおした実践、コモンズを作り出す実践はあらゆる場所で始まっていることが指摘されました。

 今回の研究例会では、18名の方々にご参加いただきました。おふたりの報告終了後、多くの参加者から質疑応答が活発になされ、それによって論点がより明確化され、例会はいっそう盛大で有意義なものになりました。報告者、司会者、参加者の方々に感謝し御礼申し上げます。

研究委員:田中研之輔(法政大学)、仁平典宏(法政大学)
担当理事:山田信行(駒澤大学)、伊藤美登里(大妻女子大学)
(文責:伊藤美登里)

2010年度 第2回

馬場靖雄

前回大会におけるテーマ部会Bのタイトルは「行為-秩序問題の再検討」でした。原子論的な行為論の立場と秩序を行為に先行させる議論を共に退けつつ、新たな社会学理論の可能性を探ろうとするこの企図を受けて、次回テーマ部会Bでは、個人の良心や既存の共同体秩序には依拠しない、新たな公共性概念の探求を試みる予定です。

この部会と連動して来る3月12日開催予定の第二回研究例会では、テーマを「依存・ケア・正義」とし、自律した、自己決定能力を持つ、その意味で「強い」個人の集合を前提として構想された従来の正義論・公共性論を、他者によるケアを必要とする人々、ケアを分担する人々の視点から再検討します。報告者お二方の報告要旨は以下の通りです。司会は、研究委員の橋本摂子(福島大学)が担当します。

正義論、公共性論、社会秩序論に理論的関心をお持ちの研究者のみならず、ご自身のケア・被ケア体験を言語化・一般化しようと模索しておられる方々のご参加をお待ちしております。

開催日程

テーマ: 依存・ケア・正義 -テーマ部会B「社会学における公共性の諸相」と連動して
担当理事: 馬場靖雄(大東文化大学)
研究委員: 橋本摂子(福島大学)
日 程: 2011年3月12日(土)14:00〜17:00
2011年5月21日(土)14:00〜17:00
場 所: 東洋大学白山キャンパス6号館3階6306教室
東洋大学白山キャンパス6号館3階6306教室

■都営地下鉄三田線「千石」駅A1出口より「西門」徒歩8分
             「白山」駅A1出口より「西門」徒歩5分
             「白山」駅A3出口より「正門・南門」徒歩5分
■東京メトロ南北線 「本駒込」駅1番出口より「正門・南門」徒歩5分
※都営地下鉄三田線をご利用の方々にも、西門は若干遠回りになりますので、正門、南門のご利用をお薦めします。正門前の階段を上りきった正面にある建物(5号館)の左側にエスカレータがあります。それに乗って地下2階まで下りて頂き、そのまま直進して頂きますと、 天井が吹き抜けになっている6号館に着きます。

報 告: 山本千晶(目白大学短期大学部)
「〈つながりにもとづく平等〉へ向けて--エヴァ・キテイ『愛の労働』からの提起(仮)」

ギリガンによって提示されて以来、「ケアの倫理」は既存の法的思考に対する批判的視点として、主に議論されてきた。したがって、「ケアの倫理」に対する、批判的な足場という以上の、オルタナティブな理論としてのある程度の一般化可能性は可能か否か、という問いが生じる。ケアの倫理に代表されるような具体的で特別な関係性から、何か規範的基盤を導けるのか、というこのような問いは、同時に、ケアをめぐる理論と実践の関係に対する重要な問題提起でもあるだろう。本報告では、「依存者」と「依存労働者」という具体的関係性に焦点をあて、これらの人々を含むすべての人が平等であるような平等概念およびそのための条件を模索しているエヴァ・キテイ『愛の労働』を導きの糸としながら、これらの問題を考えてみたい。

前田拓也(神戸学院大学)
「障害者の自立生活運動における「依存とケア」--身体障害者の介助現場から」

近年、日本の障害者運動の歴史を振り返る作業があらためておこなわれはじめている。それらの成果、特に身体障害者たちによる「自立生活運動」の系譜を繙けば、「自立/自律」のありかたと、それらのネガとしての「依存」を巡る議論は、すでに繰り返しおこなわれてきたことがわかるだろう。一方で、こうした蓄積が、現在の「自立生活」の現場でどのように受け継がれている(あるいは、いない)のかは、十分に議論されているとは言い難い。

本報告では、報告者自身の自立生活センター(CIL)へのフィールドワーク=介助者として働くことによる参与観察から得た知見をもとに、障害者たちの実際の暮らしのなかで、「自立」と「依存」がどのように解釈され、つくりだされ、揺らぎ、壊され、実践されているのかを考察する。また、それらの作業を、正義論ないし正義論がしばしばもっている前提への問いへと接続し、古くて新しい「依存論」の可能性を探る。

司 会: 橋本摂子(福島大学)

〔問い合わせ先〕
東洋大学 〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20
宇都宮京子研究室(E-mail: ukyoko@toyo.jp)[@を半角にして下さい]

研究例会報告

 先にお知らせいたしましたように震災の影響により延期・再設定されておりました第2回研究例会は、5月20日(土)14:00〜17:00、東洋大学白山キャンパスにて開催されました。広報等も不十分だったため人の集まりが危惧されたのですが、幸いなことに最大時21名の参加者を得て、盛況のうちに会を閉じることができました。急な日程変更にもかかわらずご参集いただきました参加者の皆様方に、篤くお礼を申し上げます。

 本例会では、今年度大会でのテーマ部会B「社会学における公共性の諸相」と連動するかたちで、一般的な「万人」概念の影に隠れがちな、障がい・疾病・高齢化等のためにケアを必要とする人々、ケアに携わる人々をも包摂する視点から、正義や公共性の構想を再検討してみようとのテーマを設定し、お二人の若手研究者にご報告をお願いいたしました。

 お一人目の前田拓也さん(神戸学院大学)には、ご自身のCIL(自立生活センター)での介助体験を踏まえて、ケアの有償化・社会化それぞれがもつ可能性と限界について、特にエヴァ・キティ(後述)の議論をも踏まえて社会化を規範的に正当化することの意味についてお話しいただきました。二人目の山本千晶さん(お茶の水女子大)のご報告は、このテーマに関する画期的な成果でありご自身が訳出作業に参加されたエヴァ・フェダー・キテイ著『愛の労働』の議論を中心とするものでした。山本さんは特に、キティ氏がご自身の娘さんのケアに関わるなかで、娘さんの名から命名した「ドゥーリアの原理」を敷衍するかたちで、個別的な関係から導かれる普遍的な「ケアの倫理」の可能性について論じられました。なお司会は研究委員の一人である橋本摂子(福島大学)が担当いたしました。

 質疑応答では、現在に至るまでの自立生活運動において、「自立」と「依存」が対立的に語られてきたという事実はそもそもあるのか、結局のところ普遍的な「権利」の言説はケアを受ける/ケアを行うことを正当化するためにどの程度有効なのか等の論点が提起され、活発な議論が繰り広げられました。報告者のお話もフロアからの発言も、抽象的な論理のみならず自身の介助体験等も踏まえたものが多かったため、重みのある発言どうしをかみ合わせることが必ずしもできなかった面があったようにも感じました。しかしその分、正義や倫理といったテーマが孕む奥行きと多面性も窺うことができましたので、総じて大変に有意義な会であったと言えましょう。研究担当理事・研究委員一同、今回の研究例会の成果を本年度大会での「テーマ部会B」の議論に生かすべく、さらに調整を進める所存です。

 ご参加いただきました皆様に改めてお礼申し上げます。

研究委員:橋本摂子(福島大学)、木村正人(高千穂大学)
担当理事:馬場靖雄(大東文化大学)、宇都宮京子(東洋大学)

2010年度 第3回

第3回研究例会「第6回修論フォーラム」のお知らせ

若林幹夫(研究委員会委員長)

すでにニュースでお伝えしましたように、今年度の第3回研究例会を 「修論フォーラム」として開催します。これは、2010年度に修士論文を 提出した大学院生がその内容を報告し、他大学に所属する会員が論文を 事前に読んだうえでコメントして、フロアの参加者とともに討論するものです。

前号ニュースでの報告者募集に対し、12名の応募がありました。 応募者からの希望に沿って会員にコメンテーターを依頼したところ、 以下のように担当のご承諾をいただき、プログラムを作成しました。 お忙しいなかご協力下さるコメンテーターのみなさまには、深くお礼を 申し上げます。

他の研究例会と同様、事前の連絡など不要で自由にご参加いただけます。 各大学の大学院生をはじめ、会員・非会員を問わず、多数のみなさまの ご参加をお待ちしております。なお、問い合わせなどのご連絡は、 mikio-wa@waseda.jp(若林)[@を半角にして下さい]までお願いいたします。

開催日程

日 程: 2011年5月28日(土) 13:00〜17:30
場 所: 早稲田大学早稲田キャンパス16号館(教育学部)

◇住所 169-8050 新宿区西早稲田1-6-1
TEL 03-3203-4141代表
◇JR山手線 (高田馬場駅 徒歩20分)
◇西武線 (高田馬場駅 徒歩20分)
◇地下鉄東京メトロ (東西線 早稲田駅 徒歩5分)
(副都心線 西早稲田駅 徒歩17分)
◇スクールバス (高田馬場駅 - 早大正門)
◇バス (新宿駅西口 - 早稲田)
(渋谷駅 - 早大正門)
(上野広小路 - 早稲田)
◇都電 (三ノ輪橋駅 - 早稲田駅 徒歩5分)


大きな地図で見る

●修論フォーラム会場の16号館は上図の(16)の建物です。

■セッション1 [403教室]
司会:山田 信行(駒沢大学)

13:00〜 「住民運動の社会学」
清原 悠(東京大学)
コメンテーター:有末 賢(慶応義塾大学)

14:00〜 「建築紛争における周辺住民のまちづくり参画に関する研究
     ――東京都世田谷区二子玉川東地区を事例に――」
任 修廷(東京大学)
コメンテーター:森久 聡(法政大学)

15:00〜 「「ウーマン・リブ」という運動――「75年断絶論」を超えて――」
樋熊 亜衣(首都大学東京)
コメンテーター:井上 輝子(和光大学)

16:00〜 「抗議イベントとしての2008年洞爺湖サミット反対運動
     ――個人のキャリアに及ぼす影響を中心に――」
富永 京子(東京大学)
コメンテーター:伊藤 美登里(大妻女子大学)


■セッション2 [404教室]
司会:米村 千代(千葉大学)

13:00〜 「中国のドメスティック・バイオレンス-現状及び課題-」
毛 慧(首都大学東京)
コメンテーター:鄭 暎惠(大妻女子大学)

14:00〜 「中国女性農民工のライフコースと家族生活」
     ――家族関係維持のための戦略に注目して――」
徐 琴(お茶の水女子大学)
コメンテーター:田渕 六郎(上智大学)

15:00〜 「社会における二重の抑圧と少年犯罪
     ――言説分析から見る家族規範と社会のまなざし――」
藤間 公太(慶應義塾大学)
コメンテーター:山田昌弘(中央大学)

16:00〜  「医師と患者家族との関係およびその変容について
      ――重症心身障害児の母親の「語り」を手がかりに―― 」
包 暁蘭(首都大学東京)
コメンテーター:米村千代(千葉大学)


■セッション3 [409教室]
司会:若林 幹夫(早稲田大学)

13:00〜 「若手芸術家の<生産>
     ――アートプロジェクトに見る現代美術の文化生産」
高橋 かおり(早稲田大学)
コメンテーター:友岡 邦之(高崎経済大学)

14:00〜 「戦後成長のエネルギー――原子力ムラの歴史社会学」
開沼 博(東京大学)
コメンテーター:伊藤 守(早稲田大学)

15:00〜 「外国人労働者と日本の社会保障制度
     ――高学歴中国人労働者の語りから」
王 茜鈴(お茶の水女子大学)
コメンテーター:三本松 政之(立教大学)

16:00〜 「社会的現実の存在論と認識論
     ――ジョン・サール「社会の哲学」の批判的検討」
河村 賢(東京大学)
コメンテーター:浦野 茂(三重県立看護大学)

修論フォーラム報告

今年で5回目となる修論フォーラムが第3回研究例会として、5月28日に早稲田大学早稲田キャンパスで開催されました。今回は2010年度に修士論文を提出された5大学・12名の報告者を3つのセッションにわけ、修士論文の概要の報告と、コメンテーターからのコメントと応答、参加者を交えた討論が行われました。 セッション1では、清原悠氏(東京大学)「住民運動の社会学」(コメンテーター:有末賢氏)、任修廷氏(東京大学)「建築紛争における周辺住民のまちづくり参画に関する研究-東京都世田谷区二子玉川東地区を事例に」(コメンテーター:森久聡氏)、樋熊亜衣氏(首都大学東京)「「ウーマン・リブ」という運動-「75年断絶論」を超えて」(コメンテーター:井上 輝子氏)、富永京子氏(東京大学)「抗議イベントとしての2008年洞爺湖サミット反対運動?個人のキャリアに及ぼす影響を中心に」(コメンテーター:伊藤美登里氏)の4報告、セッション2では、毛慧婷氏(首都大学東京)「中国のドメスティック・バイオレンス-現状及び課題」(コメンテーター:鄭暎惠氏)、徐琴氏(お茶の水女子大学)「中国女性農民工のライフコースと家族生活-家族関係維持のための戦略に注目して」(コメンテーター:田渕六郎氏)、藤間公太氏(慶應義塾大学)「社会における二重の抑圧と少年犯罪?言説分析から見る家族規範と社会のまなざし」(コメンテーター:山田昌弘氏)、包暁蘭氏(首都大学東京)「医師と患者家族との関係およびその変容について?重症心身障害児の母親の「語り」を手がかりに」(コメンテーター:米村千代氏)の4報告、セッション3では、高橋かおり氏(早稲田大学)「若手芸術家の<生産>-アートプロジェクトに見る現代美術の文化生産」(コメンテーター:友岡邦之氏)、開沼博氏(東京大学)「戦後成長のエネルギー?原子力ムラの歴史社会学」(コメンテーター:伊藤守氏)、王茜鈴氏(お茶の水女子大学)「外国人労働者と日本の社会保障制度?高学歴中国人労働者の語りから」(コメンテーター:三本松政之氏)、河村賢氏(東京大学)「社会的現実の存在論と認識論-ジョン・サール「社会の哲学」の批判的検討」(コメンテーター:浦野茂氏)の4報告が、それぞれ行われました。
3セッションあわせて、90名ほどの参加者があり、活発な質疑、発言が行われました。報告者、コメンテーター、参加者の皆様に、改めてお礼を申し上げます。
若林 幹夫(前研究委員会委員長)