: 2014年度
2014年度 第2回 |
本テーマ部会は、前年度に引き続き「自己について語る」という営みについての諸研究を再検討することを目的とします。 自分自身について物語るという営みについて1990年代から2000年代初頭にかけて様々な理論的検討がなされてきました(ライフ・ヒストリー/ライフ・ストーリー論、自己物語論)。それらの検討を通して、自分自身についての語りが、語りがなされる時点からの遡及的な再構成であること、語り手と聞き手との相互行為に依存して構成されること(「ヴァージョンの展開」)、語りがつねに現時点での自己再帰性(「再帰的プロジェクトとしての自己」)の一環としてなされることなどが明らかにされました。 その一方で、いくつかの難題も明らかになっています。例えば、語られる物語はヒストリーなのか(「今ここ」での)ストーリーなのか(自分「史」なのか「自分」史なのか)、物語は事実なのか、付与された意味なのか(「偽記憶」問題)、そもそも分析対象は「物語」なのか(物語が埋め込まれている)「関係」なのか、等々。 続く2000年代は、経験的な研究を蓄積する時期であったといえるでしょう。様々な領域で、様々な人々の自己語りが聞き取られ、検討され、分析されてきました。またその自己語りを支援し、増殖させる社会的な仕組み(「自己啓発」「自己分析」等)についても調査研究が行われてきました。では2010年代も半ばに入ろうとする現在、経験的研究の蓄積を踏まえて、理論を振り返ってみたときどのようなことがいえるでしょうか。かつて見いだされた問題は解決(あるいは脱問題化)されたのでしょうか、それとも放置されたままなのでしょうか。後者の場合、現時点での知見から、かつての問題について何がいえるのでしょうか。このような問いかけは、同時に、現在も旺盛に進められている自己語りの研究の理論的な含意について振り返る機会にもなるはずです。 今年度は、特に対話的構築主義の理論を中心として検討を進めていきたいと思います。その手始めとして下記のように研究例会を行ないます。多くの方の参加をお待ちしています。 開催日程
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