: 2015年度
2015年度 第2回 |
本テーマ部会では、現代の都市生活における〈場所性〉の意味や機能について多角的に再検討してみたい。21世紀の今日、従来の地域共同体(地縁等)とは異なり、またメディアが媒介するいわゆる〈無場所性〉の現象とも異なる、新たな関係性が都市空間のさまざまな局面で確認されつつある。それらは、一見、従来的な意味での地域を越えたつながりと見えるが、実際には特定の空間(〈場所性〉)を結節点として関係の形成、維持が図られている。これらの多くはメンバーの共通の関心をもとに自発的に形成されたものであり、関心縁や趣味縁とも重なる。こうした関心縁や趣味縁によって形成される関係性は、「新たな地縁」や「新たなコミュニティ」となりうるものなのだろうか? そして、そうした新たな関係性が結束力に伴う親密性と同時に排他性をも内包していることにも注目したい。それら両面の効果に関しても過不足なく検討していきたい。以上のような問題意識に基づき、本テーマ部会では主として都市文化や都市社会の文脈から現代の〈場所性〉を再考し、その特質と課題について多角的に議論を深めていくことを目指したい。 そこで、研究例会ではオンラインとオフラインが交錯する場としての都市文化・若者文化に着目し、気鋭の若手研究者お二人からの報告を踏まえた活発な議論を行いたい。今日、日常のコミュニケーションやメディア・コンテンツの消費が対面的な場からネット上へと移行するにしたがい、むしろ特定の場所へ現実に人々が集まることに対して特別な意味が付与されているようにもみえる。オンラインのつながりが前景化した現在、人はなぜわざわざ時間と手間をかけて遠く離れた場所に集まるのか。 研究例会では、「コミックマーケット(コミケ)」と「ロックフェスティバル」の2つの事例を取り上げ、現実の空間・文化・経済をめぐってどのようなやり取り、相互行為がなされ、参加者たちがそれらにいかなる価値を見出しているか、実証的な観点からの研究報告および会員を交えての議論を通じて、オンラインとオフラインにおける場所性と祝祭性の問題を掘り下げていきたい。多くの皆様のご参加をお待ちしています。 開催日程
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