2021年度 第1回 |
第1回研究例会
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テーマ: | コロナ禍の経験を社会学としてどう捉えるか |
日時: | 2022年3月13日(日)14時〜17時 |
報告: | 藤浪海(関東学院大学) 「コロナ禍で問い直されるフィールドワーカーの視野と前提――横浜市・川崎市臨海部に暮らす移民調査の経験から――」 原めぐみ(和歌山工業高等専門学校) 「コロナ禍で育まれる紐帯:大阪・Minamiこども教室の事例」 |
討論者: | 西野淑美(東洋大学)、大槻茂実(東京都立大学) |
司会: | 研究担当理事、研究委員 |
会場: | Zoomによるオンライン形式で開催 研究例会への参加を希望される方は、3月9日(水)までに、以下のリンク先のGoogle Formに必要事項を記入し、送信して下さい。前日までにオンライン参加に必要な情報をお知らせ致します。 https://forms.gle/g2WzEaiJ3ZmWdA9QA |
連絡先: | 東京都立大学都市環境学部都市政策科学科 山本薫子 E-mail: kahoruko[at]tmu.ac.jp([at]を@に置き換えてください) |
[テーマ部会A] | |
担当理事: | 小ヶ谷千穂(フェリス女学院大学)、山本薫子(東京都立大学) |
研究委員: | 小山弘美(関東学院大学)、村上一基(東洋大学) |
◆報告要旨 | |
藤浪 海(関東学院大学) 「コロナ禍で問い直されるフィールドワーカーの視野と前提――横浜市・川崎市臨海部に暮らす移民調査の経験から――」 コロナ禍において移民が大きな影響を受けてきたことは、これまでメディアを通じて様々な形で報じられ、学術界からもすでに書籍としてその状況がまとめられてきた(鈴木江理子編『アンダーコロナの移民たち――日本社会の脆弱性があらわれた場所』明石書店など)。そこで繰り返し指摘されてきたのは、「以前から人々の抱えていた社会的脆弱性が感染症拡大により可視化された」ということである。筆者のフィールドとする神奈川県横浜市・川崎市の臨海部においても多くの移民が困難に直面したばかりか、その支援すら以前の体制のまま継続することは困難になり、さまざまな形で問題が噴出した。 こうした状況を踏まえ今回の報告では、上記報告者のフィールドの事例を参照しつつ、その経験を社会学としていかに引き受けられるのかを議論していきたい。「人々の抱えていた社会的脆弱性が感染拡大により可視化された」ことで、フィールドワークを行ってきた報告者自身が暗黙の前提としていた事柄や視野のあり様はいかに問い直された(あるいは問い直されなかった)のか――この点を再帰的に検討することを通じて、コロナ禍が社会学に与えたインパクトについて考察を深めていきたい。 原 めぐみ(和歌山工業高等専門学校、非会員) 「コロナ禍で育まれる紐帯:大阪・Minamiこども教室の事例」 2021年3月現在、中央区の外国人比率は8.22%(8.7千人)であり、大阪市の中でも特に外国人集住地域であるといえる。統計的に見る外国人住民の特徴は、女性が男性の1.3倍多いことだ。この街で2012年に起こった外国人母子の無理心中事件をきっかけに、Minamiこども教室という外国につながる子どもやその保護者を支援する団体が発足した。事件の大きな原因は、マイノリティ女性と地域コミュニティとの社会関係が希薄だったことである。そのため、同団体はこれまで、組織内の結束力を強めるだけでなく、有機的に外部とのネットワークを構築しながらその活動範囲を広げてきた。 本発表では、グラノヴェターの「弱い紐帯の強さ」を応用し、コロナ禍以前に形成された紐帯が、多文化家族にとって役立つのかについて考察する。経済不況下においては、移民コミュニティとホスト社会の地域レベルでの関係が重要になる。特に新型コロナ関連給付金につながる情報や、行政手続き支援をしてくれるヒトに頼る必要が出てきた。また、コロナ禍二年目には就労支援事業が始まり、参加した人がエンパワーされ、新たな就労機会を獲得し始めている。これまで弱くとも着実に形成してきたMinamiこども教室と多文化家族との紐帯によって、多文化家族が社会資源を得ることに成功している。なお、報告者は同団体で長年アクションリサーチを行ってきたが、ジレンマを抱えることが少なくない。社会学を現場にどう活かしていくのか、フロアと議論したい。 |
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(文責:山本 薫子) |
2021年度 第2回 |
第2回研究例会
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テーマ: | 新しい調査法と社会調査教育 |
日時: | 2022年3月20日(日)14時〜17時 |
報告者: | 大林真也(青山学院大学) 「デジタル社会調査の研究と教育」 吉川侑輝(立教大学) 「ワークプレイスのなかの調査士教育―エスノメソドロジーの立場から」 脇田彩(お茶の水女子大学) 「オンライン化された社会調査教育の課題と意義」 |
司 会: | 研究担当理事、研究委員 |
会場: | Zoomによるオンライン形式で開催 研究例会への参加を希望される方は、3月9日(水)までに、以下のリンク先のGoogle Formに必要事項を記入し、送信して下さい。前日までにオンライン参加に必要な情報をお知らせ致します。 https://forms.gle/izpjHoAXVvLzyFai6 |
連絡先: | 専修大学人間科学部社会学科 秋吉美都 E-mail: mito.akiyoshi[at]gmail.com([at]を@に置き換えてください) |
[テーマ部会B] | |
担当理事: | 渡邉大輔(成蹊大学)、秋吉美都(専修大学) |
研究委員: | 内藤準(成蹊大学)、齋藤圭介(岡山大学) |
◆報告要旨 | |
大林真也(青山学院大学) 「デジタル社会調査の研究と教育」 近年では、ICTの発達やSNSの隆盛により、私たちの社会的世界は大きく変わりつつある。それとともに、そうした社会的世界について日々膨大なデジタルデータが生み出され、蓄積されるようになった。他方では、調査に対する世間のニーズとして、データサイエンスや効果検証(EBPM)に注目が集まっている。かねてより社会学では、社会的世界の記述として、インデプスインタビューやサーベイが多用されてきたが、こうしたデジタルデータの活用や因果推論という点では後れをとっている。 ビッグデータは多くの社会学理論が必要とする相互行為や関係性に関するデータを大量に含んでおり、(デジタル・フィールド)実験は、社会現象の再現を可能にするという意味で、社会学の発展に重要な役割を果たす。そのため、ビッグデータ収集や実験研究の社会学における蓄積は喫緊の課題である。この課題を解決するためには、社会学のみならず他分野の研究者と共同で研究・教育に従事することが必要である。本報告では、異分野融合学部に所属し、従来型の社会調査だけでなく、デジタル社会調査にも従事する立場から、この問題を検討する。 吉川侑輝(立教大学) 「ワークプレイスのなかの調査士教育―エスノメソドロジーの立場から」 自身の専門性を教育においてどう活用するかはおそらく、研究者にとってのある程度一般的な実践的課題を構成する。「難しい」けれども「重要な」ことを学生にどう教示するか。広く了解された通説的な説明と、新しい研究成果の間の差異をどのように埋めるか。そもそも、担当しているのが自身の専門に係る科目であるのか。 調査士科目という制約は、こうした一般的課題を、一層複雑なものとする。エスノメソドロジーを専門とする報告者の場合、その近年における展開や多様性、「質的研究」との関係についての複数の立場、そして社会調査における質的研究のそもそも位置づけなど、それぞれが一筋縄ではいかない論点を構成する。教員が調査士資格を有しているか、あるいは所属する組織において予め定まった教示内容が存在しているかといった個別的な事情も併せて考える必要がある。 こうした課題は、まずは大学というワークプレイス(職場)においてなされるその都度の授業実践のなかで解消されなくてはならない。こうした関心のもと本報告では、専門性と調査士教育という複層的な関心を調停するやり方の一端を、自身の経験などをもとに報告・検討したい。 脇田彩(お茶の水女子大学) 「オンライン化された社会調査教育の課題と意義」 量的調査による社会調査実習に対して、近年の研究・社会状況の変化がどのような影響を与え、新たな課題を生じさせているか、平凡な社会調査実習の実践から考えたい。 パンデミックの影響もあり、社会調査教育の中でインターネット調査を行うことが増えたと思われる。インターネット調査には大きな利便性があるが、特有の倫理的課題や注意点があることが知られており、調査対象者の負担軽減や回収率向上などのための工夫が必要となる。また、調査だけでなく授業・学生指導のオンライン化も進み、情報の共有が容易になる一方で、学生相互や学生・TA・教員間の気軽なコミュニケーションが難しくなるといった影響を社会調査教育も受けている。社会調査実習を担当する教員はこうした調査・教育の変化に注意し、新しい調査・分析の手法を積極的に取り入れて、調査を実施することになる。 社会調査実習における調査は教育を目的として行われるが、研究上、あるいは社会的に意義のある成果を上げる場合があることにも注目したい。倫理審査を経るなどして、成果を適切な形で公表したり、調査対象者に還元したりできる体制を整える必要性も増していると考えられる。 |
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(文責:秋吉 美都) |