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年次大会
:第60回大会 (報告要旨・報告概要:テーマ部会B)


テーマ部会B 「リスク・個人化・社会不安(社会理論・社会構想)」〔17号館2階 1723教室〕

司会者:伊藤 美登里(大妻女子大学)・澤井 敦(慶應義塾大学)
討論者:片桐 雅隆(千葉大学)・鈴木 宗徳(法政大学)

部会要旨 澤井 敦
1. リスク社会としての現在―ベックの世界リスク社会論の検討を中心に 島村 賢一(放送大学)
2. 個人化と宗教的なものの行方―U・ベックを中心に 宇野 重規(東京大学)
3. 平準化される個人―消費社会化による分断を超えて 鈴木 謙介(関西学院大学)

報告概要 準備中
部会要旨

担当理事:伊藤 美登里(大妻女子大学)
澤井 敦(慶應義塾大学)

テーマ部会Bでは、「リスク・個人化・社会不安」という三つのキーワードを交差させながら、現代社会の現状を開けた視野のもとに、社会理論・社会思想的観点から理解することを目的としています。
 もちろん「リスク社会」や「個人化」という切り口からは、すでに多くの研究が生み出されているのは周知のとおりです。しかしながら、昨年3月11日以降の、震災以後の経験によって私たちがあらためて思い知らされたことのひとつは、われわれが生きる現代社会の基盤の想像を上まわる脆さということだったのではないでしょうか。自然的・社会的に生み出されるリスクや危険に直面したときの現代社会の脆弱性、また、そうした危機的状況に際して個人化された社会に生きる人びとが日常生活のレベルでなし得ることの限界や協調することの困難、さらに、このような限界や困難が呼び起こす無力感が社会不安を醸成し、ひいては不安のはけ口を求める人々を、時として利己的な行動や異物・他者を極端に排除しようとする方向へと集合的に走らせてしまうこと、これらのことを、昨春以降の経験はさまざまなかたちをとりつつ、あらためて私たちに再認識させるものだったのではないでしょうか。
 とはいえ本部会は、震災に関する問題を直接的に論じることを意図するものでは必ずしもありません。また、「リスク・個人化・社会不安」という三つのキーワードが相互にリンクするありかたについても、先の記述はその一例を示したものであるにすぎません。むしろ、震災以後の経験によってあらためて浮き彫りにされた現代社会・日本社会の特質をふまえて、われわれが今いる社会的・歴史的な場の様相を再整理する理論的な見取り図を、多元的な観点からあらためて描き直していくということが、本部会の趣旨です。
 部会ではまず、ウルリッヒ・ベックの『世界リスク社会論』や『ナショナリズムの超克』の訳者でもあり、ベックのリスク社会論に精通しておられる島村賢一氏(放送大学)に、「リスク社会としての現在―ベックの世界リスク社会論の検討を中心に」というタイトルでご報告いただきます。続いて、ご専門の政治哲学を基盤としつつも、『〈私〉時代のデモクラシー』や『デモクラシーの擁護―再帰化する現代社会で』などのお仕事では社会理論をも包摂する議論を展開しておられる宇野重規氏(東京大学)に、「個人化と宗教的なものの行方―U・ベックを中心に」というタイトルでご報告いただきます。そして最後に、『カーニヴァル化する社会』や『サブカル・ニッポンの新自由主義』などのお仕事で、社会理論の視点から日本社会の現状をめぐる多彩な分析を展開されている鈴木謙介氏(関西学院大学)に、「平準化される個人―消費社会化による分断を超えて」というタイトルでご報告いただきます。
 部会の構成としては、島村氏に主として「リスク社会」について、宇野氏に主として「個人化」について、鈴木氏に主として「社会不安」について論じていただくというかたちになります。それと同時に、当日の議論では、三氏のご報告が交差する様々な地点から、現代社会あるいは日本社会の現状と将来を見渡すための興味深い理論的な知見や構想が、多様なかたちで引き出されてくることが期待されます。当日、論点提起をしていただく討論者は、最新著の『自己の発見』にいたるまで私化や個人化が進行する現代社会の様相を包括的に論じてこられた片桐雅隆氏(千葉大学)と、司会の伊藤氏と共に『リスク化する日本社会』を編まれ、ベックなど海外の研究者との対話も積極的に進めておられる鈴木宗徳氏(法政大学)です。
 理論的な問題に興味をお持ちの方のみならず、より具体的な個別の問題に関心を寄せられている方をも含めて、幅広い皆さまのご参加をお待ちしております。

(文責:澤井 敦)

プログラムはこちら

第1報告

リスク社会としての現在―ベックの世界リスク社会論の検討を中心に

準備中

第2報告

個人化と宗教的なものの行方―U・ベックを中心に

準備中

第3報告

平準化される個人―消費社会化による分断を超えて

準備中

報告概要

準備中

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