第61回関東社会学会大会を一橋大学国立キャンパスにおいて開催する運びとなりました。 一橋大学は、1927年、前身の東京商科大学が関東大震災後に移転して以来、国立の地において今年で86年目を迎えています。社会学部(1951年創設)・大学院社会学研究科(1953年創設)は、戦後、新制大学となって60年以上にわたり、社会科学・人文学の幅広い諸分野を横断する教育と研究の拠点として、その歴史を紡いできました。これまでに数多くの優秀な社会学者を送り出してきましたが、現在も、社会学部は四学年合わせて約千名、大学院社会学研究科には博士前期課程と博士後期課程合わせて約500名の学生が在籍しています。とくに大学院社会学研究科は、社会学だけでなく、哲学・思想、心理学、人類学、政治学、教育学、総合政策、歴史学など幅広い分野で総合的に先端的な研究がすすめられており、社会学専攻の大学院生も複合的な視野と多元的思考の獲得をめざして切磋琢磨しています。 今大会は、修論フォーラム、自由報告部会、テーマ部会、テーマセッション、ワークショップ、そして海外招聘講演と大変多彩なプログラム内容で構成されることになりました。少しでも多くの会員に参加していただき、活発な議論が展開され、知的刺激に満ちた大会になってほしいと願っています。 今大会が豊かで実りあるものとなりますように、大学スタッフと大学院生たちとともども、できるかぎりよい大会環境づくりに努めて参りたいと思います。ご参加を心よりお待ちしております。
町村 敬志(大会開催校実行委員長) 小林 多寿子(大会開催校理事)
・4頁修論フォーラムセッション1: 誤=井口高志(信州大学) 正=井口高志(奈良女子大学) ・5頁修論フォーラムセッション3: 誤=小林宏郎(立教大学) 正=小林宏朗(立教大学) ・8頁自由報告第3部会: 誤=松岡暎理(一橋大学) 正=松岡瑛理(一橋大学) ・9頁自由報告第5部会第5報告「死生観の心理学」報告取りやめ ・13頁テーマ部会A: 誤=原田利恵(国立水俣病総合研究センター) 正=原田利恵(元国立水俣病総合研究センター)
研究委員長としての2年間の任期を、研究委員の先生方および会員の皆様のお力添えで何とか勤め上げることができました。心よりお礼申し上げます。
経済環境の激変の中で、社会学の原点でもあった「経済と社会」の関係をめぐって経済社会学の分野が国際的に活性化してきている。現在、日本での経済社会学的研究の発展は見られるものの、国際的な大きな再活性化との落差はいまだ大きい。その一方、社会関係資本social capital, 埋め込みembeddedness、 弱い紐帯weak tieなどの鍵概念は多くの分野で刺激を与えている。特に、エスニシティ・移民研究を中心とする国際社会学分野では、経済社会学的研究が相対的に強い影響を与え、その理論を分析ツールとするとともに、経済社会学の成果の検証が、他分野以上に積極的に行われていると言えるだろう。今回のテーマセッションの目的は、このような経済社会学の成果が現代の社会変動の解明への貢献を、エスニシティ・移民の現象をはじめとするグローバル化の諸現象を素材としながら、広くその射程を考察することにある。このためプリンストン大学Alejandro Portes教授をゲストとして迎える。ポルテス教授は、エスニシティ・移民研究の分野で長く合衆国をはじめとして国際的な水準で研究をリードし、これを経済社会学の最新の理論的展開との媒介し、さらに経済社会学のよりシステマティックな理論的研究書を近年発表してきた。日本における経済社会学的理解と世界の動向を媒介しつつ、それを本学会のエスニシティ・移民研究者との議論の場を生み出すには最適なゲストスピーカーといえよう。
具体的には、まずポルテス教授をメインに、経済社会学的な視点をもって日本でのエスニックな現象の分析をリードしている中堅研究者2名を加えてパネルディスカッションを編成し、本学会に多数所属している移民・エスニシティ研究者の議論への参加を促す。パネリストについては現在交渉中である。
最後に今大会が、一橋大学で開催されることからも、広く社会学研究に寄与しながらも、ちょうど設立20年に当たる国際社会学分野の研究拠点のある一橋大学で開催される大会としての意義を象徴的にも実質的にも高める企画になりうると信じるものである。