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年次大会
大会報告：第58回大会 （報告要旨・報告概要：自由報告 第６部会）

部会一覧



第６部会：組織と統制

司会：馬場　靖雄（大東文化大学）
1. 「パーティーオーガナイザー」の実態と課題--未婚化・晩婚化の中で彼らに求められる役割とはなにか［PP］ 井草　剛（早稲田大学）
2. リスク社会における犯罪と監視 本柳　亨（早稲田大学）
3. 犯罪とマス・メディアをめぐる聖・俗・遊 赤羽　由起夫（筑波大学／日本学術振興会）
第１報告

「パーティーオーガナイザー」の実態と課題――未婚化・晩婚化の中で彼らに求められる役割とはなにか――［PP］

井草　剛（早稲田大学）

　「パーティーオーガナイザー」とは、結婚紹介など民間の結婚関連産業従事者や、その他、お見合い（出会い系）パーティー利用者等が作った俗語であり、友人等を介して異性との出会いを法人としてではなく、私的に支援する者を指す。今回の調査によれば、パーティーオーガナイザーの活動には多様な共通点があり、その活動場所や営業方法なども同様であった。その活動は主にタワーマンション等のエグゼクティブマンション内の共有施設（スカイラウンジ、BAR）で行われている。パーティーオーガナイザーの都心部における劇的な増加は、エグゼクティブマンションの増加が背景となっているが、六本木の某エグゼクティブマンションでみられるように、お見合い（出会い系）パーティー開催による、騒音や風紀の乱れによる住人やマンション管理会社・管理組合とのトラブルも多発している。さらに、昨年には結婚関連産業老舗の大手から、既存の利益を損なうとして、パーティーオーガナイザーに対する規制を求める要望書が厚生労働省に提出された。しかし、恋愛やパートナーシップの在り方が変化するなかで、既存の出会いの形が、必ずしも「恋愛」、「結婚」に結びつくとは限らず、未婚化・晩婚化の問題、または少子化問題の観点からすれば、「出会いの機会の減少」が指摘される今日、新しい形で異性を紹介するパーティーオーガナイザーが役割を果たす余地は十分にある。本稿は、その実態について様々な角度から検証し、未婚化・晩婚化の中で彼らに求められる役割とはなにかを提示する。

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第２報告

リスク社会における犯罪と監視

本柳　亨（早稲田大学）

　現代は、個人に降りかかる損害が「リスクの問題」として認識される、「リスク社会」である。リスク社会では、失業、貧困、病気と同じように、犯罪に遭遇することも「リスクの問題」として扱われる。犯罪のリスク化が進む一方で、犯罪に対する監視の強化も進んでいる。犯罪に対する監視には、三つの側面がある。第一に、警察のパトロールや防犯パトロールに代表される「組織監視」であり、第二に、監視カメラに代表される「機械監視」であり、第三に、通行人のまなざしに代表される「自然監視」である。本報告では、リスクの構造的特徴に着目しながら、「犯罪のリスク化」と「監視の強化」の共振関係について考察する。近年注目が集まるリスクという言葉であるが、その概念は多様で曖昧である。「リスクとしての犯罪」とはいかなるものなのか。本報告の目的は、犯罪という視点からリスクを再定義することにより、「リスクとしての犯罪」が抱える構造的ジレンマを明らかにすることである。

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第３報告

犯罪とマス・メディアをめぐる聖・俗・遊

赤羽　由起夫（筑波大学／日本学術振興会）

本報告の目的は、犯罪とマス・メディアの関係を聖・俗・遊の三項図式によって理解し、その理論的な可能性を考察することである。マス・メディアに現れる犯罪は、人びとの生活に対して、一方では非日常の娯楽として、他方では日常を壊す非常事態として対置している。そのため、犯罪は、ロジェ・カイヨワが提起した聖・俗・遊の三項図式によって捉えることができる。つまり、一方で犯罪は「遊」として、他方で犯罪は「聖」として、すなわち日本的に言えば、触れてはならない「ケガレ」として、「俗」に対置していると捉えられるのである。犯罪とマス・メディアをめぐる現象を見てみれば、たとえば、聖としての犯罪が、世俗生活を圧倒するように報道されることで生じるのがモラル・パニックであり、他方、遊としての犯罪が、世俗生活を圧倒するように報道されることで生じるのが劇場型犯罪であると言えるだろう。聖あるいは遊としての犯罪のマス・メディアにおける現れ方は、時間的変化の側面と空間的な布置の側面において分析することができる。それはたとえば、事件報道における遊から聖へあるいは聖から遊へという時間的変化や、犯罪を聖として扱うメディアと遊として扱うメディアとの関係という空間的布置という側面である。以上の議論から考察を行うことで、本報告では、マス・メディアに現れる犯罪のテクストの読み方の可能性を広げることを試みる。

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