大会開催校理事 嶋 澄 (武蔵大学)
この度、関東社会学会第42回大会を武蔵大学でお引き受けすることになりました。承りますところによると、本学会は、戦後まもなく若手の研究者を中心に発足した歴史ある学会とのこと。この伝統のもと、今年42回目の大会を迎える隆盛な学会として発展し、単なる地域学会から全国学会として会員数も550名を越え、重要な学術団体として認められるように成長してきました。これはひとえに会員諸氏の研鑽の賜と思われます。 さて、私ども武蔵大学の前身は、わが国で初めての私立7年制の高等学校として、1922年(大正11年)に創設されたものです。そして戦後の学制改革によって1949年に武蔵大学経済学部がスタートし、1969年(昭和44年)に人文学部が増設されて、わが社会学科が誕生いたしました。今年は社会学科創設25年目に当り、社会学の専門教員も現在8名を数えるまでとなり、来年度の大学院開設を目指している段階にあります。この時期に当り、本大会を開催することは、本学としては、誠に時宜を得たことと考えている次第です。 ただし、こうした事情で、本学の大学院生はまだおりませんので、本学出身の他大学の院生諸君などと学部学生に協力願い、中堅・若手の本学専任スタッフ(白水、西原、藤村、栗田、山嵜)が当日の大会運営の裏方になります。当日は、学部長を務める社会学科教員(小川)は出張で不在ですが、他の教員(嶋、大村)も加わって社会学科全員でお手伝いする態勢をとっております。何なりと、お気軽に声を掛けて下さい。 プログラムによりますと、4つのテーマ部会は、数年前の大会から継続されているものもあり、その各々が現在われわれの直面している重要なテーマであり、レベルの高い報告者による発表が展開されることと期待されております。また気鋭の研究者諸兄姉による自由部会の報告も斬新な研究成果が発表されるものと思われます。理事先生方はじめ会員の皆様のご指導のもと充実した大会が行われますよう、私どもも努力いたす所存であります。 蛇足ながら、今回メイン会場となります3号館は、1923年(大正12年)4月に建設され、この年の9月に起こった関東大震災に耐えた堅牢きわまる建物であります。盛会を祈ってやみません。
会長 下田 直春
第42回関東社会学会大会は、平成6年6月11日(土)・12日(日)の両日、武蔵大学において開催されました。武蔵大学人文学部社会学科の全スタッフの方々をはじめ、卒業生の方々まで動員して万全の体制で大会の運営に当っていただくことができ、とどこおりなく盛会裡に大会を終えることができました。これもひとえに理事をはじめ関係者各位の日頃からの周到なご努力によるものと深く感謝申し上げる次第であります。 今大会は、その部会の数から参加者の数に至るまで、これまでの大会のなかで最大のものとなりました。今大会では自由報告の申し込みが多くて、5つの部会を編成しなければならなくなりました。5つの自由報告部会を編成した場合、参加者が分散されて惨めな結果になりはしないかと心配されましたが、それぞれの部会にほぼ20~30名の参加者があり、杞憂に終わりました。ただ、大会当日になって、報告予定者2名の欠席があったのは残念なことでした。一人は急病で止むを得ないことでしたが、もう一人は事前に何の連絡も無く欠席されたので、部会を担当された司会者には、大変ご迷惑をかける結果になってしまいました。このようなことは、会員として絶対にあってはならないことだと思います。 テーマ部会では、前年度からの継続部会である「理論部会」と「環境部会」のほかに、今大会はじめての部会として、「異文化コミュニケーション」と「身体化部会――死の社会学」が加わりました。「異文化コミュニケーション」は、従来のArea Study部会の内容を少し角度を変えてアジア地域での異文化の交流に伴う諸問題を取り上げた部会です。両部会とも参加者の関心は強く、「身体化部会」の方は、会場の教室から溢れるほどの盛況ぶりでした。同じような会場からのあふれ現象は、「理論部会――権力のアクチュアリティ」の会場でも見られました。熱気あふれる会場で、討論も活発に行われていましたが、抽象の程度が高い話が多く、もう少しアクチュアリイが欲しい気もしました。「環境部会」も盛会で、この部会は継続されることもあって、常連の参加者が多いという印象をもちました。 時間さえあれば、もっともっと議論が深められたと思いますが、余韻を残して来年度の大会において、さらに論議を深めていただきたいと思います。
大会担当理事代行 中泉 啓 (日本大学)
第42回、関東社会学会大会は6月11日(土)、12日(日)の両日、武蔵大学において開催されました。大会参加者数は延べ人数で500人ほどで、これまでの大会中最高の参加者数ではなかったかと思われます。 今大会の特徴としては自由報告部会が5部会、20名の会員によって発表が行われたことがまず上げられます。日曜日午前中に開催されたにもかかわらず、これらの自由報告部会に大勢の方の参加があり、極めて盛況であったことが印象に残ります。 テーマ部会は、理論部会(権力理論のアクチュアリティ)、環境部会(環境社会学の課題――環境問題をめぐる運動論の有効性――)、身体部会(死の社会学)、エリア・スタディ部会(国際化と異文化の交流)の4部会が開催されました。これらテーマ部会も連日大勢の参加者がありましたが、特に若い人々の参加が多く、これも関東社会学会の大きな特徴ではないかと思われます。 今大会にかかわった担当理事、研究委員、司会者、発表者、コメンテーターの各位の方々に厚く御礼申し上げます。また、今大会を快くお引き受けいただいた武蔵大学の嶋澄先生を始めとする皆様方、お手伝いを頂いた学生の皆様にも心より御礼申し上げます。あわせて事務局を担当なさってくださっている立教大学の皆様方にも御礼申し上げます。 テーマ部会のうち、環境部会は今回をもって一応の終わりとなりました。次大会からは新たなテーマを設定いたします。会員の皆様方にも新たなご協力を仰ぐことがある屋も知れませんが、何卒宜しくお願い申しあげます。